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海外でのインターンを経て『コム デ ギャルソン』にて奮闘中

FASHION

阿部光希/パタンナー
2015年ファッションデザイン学科卒業 

デザイナーのリアルを見て覚醒、海外にも視線が向く

卒業からまだ1年半ほど。若者らしいフレッシュな雰囲気を漂わせる阿部光希氏は、現在、世界に名だたる『コム デ ギャルソン』コレクションラインのパタンナーとして、ファッションのプロの道を歩み始めたばかり。「下積みが長いと予想していたが、結構やらせてもらえていて、コレクションの根幹に関わるアイディアを求められることも。自分が提案したものがパリコレに出るなんて夢のよう。一年前は海外で学生をしていたのに」。環境の変化にいちばん驚いているのは、他でもない阿部氏自身である。

服づくりに興味を持ったのは、「モテたい」「女の子に見せたい」という若者らしい単純な動機から。それゆえモード学園入学当時はファッションの知識は乏しかったし、将来について具体的なビジョンがあったわけでもなかった。転機となったのは、2年生時。『エー ディグリー ファーレンハイト』を展開するモード学園の先輩、天津憂氏のもとでファッションデザイナーのリアルな仕事を体感し、覚醒。「華やかさに圧倒され、カッコよさに感動し…この人のようになりたいと一気にヒートアップした」。そこからは行動あるのみ。寝食を忘れて創作してはコンテストに出品するという、刺激的で充実した学園生活後半戦となった。思い出に残っているのは、世界的毛皮の養殖団体「コペンハーゲンファー」が主催するファッションショー「IMAGINE TALENTS 2015」に、日本代表として参加したこと。「現地を訪れて海外の学生たちと交流し、遠いイメージだった海外を近くに感じた。視野が広がり、海外に目を向けるきっかけにもなった」と回想する。

卒業後にイギリスへ留学、帰国後は『コム デ ギャルソン』へ

そして「第41回神戸ファッションコンテスト2014」で見事グランプリに輝き、副賞としてイギリス・ノッティンガムトレントユニバーシティに留学。留学中には、LFW協会から選抜され、ロンドンファッションウィークの前座としてショーを開催するなどして脚光を浴び、それが縁で『ヴィヴィアン・ウエストウッド』ほか、パリやベルギーのアントワープにも赴き、インターンを経験した。ビザの関係でやむを得ず帰国となったが、ほどなく『コム デ ギャルソン』への入社が決定。あの川久保玲氏のもとで仕事ができる。ファッションを志す者にとって、これほどに心躍ることはないだろう。

そんな境遇を阿部氏は、「恵まれている」と認めながら、「もう後には引けないし、本気でやるからこそ不安も大きい」と打ち明ける。しかし「成功が見える方より、不安がある方を選ぶのが信条。自分が不安になるぐらい、先が想像できないあやうさ、もろさ、恐さ。それがあるから核心に近づけるし、新しい創造になると思うから。不安を味方にして進んでいけば、なりたい道をつかんでいけると思っている」。
きっぱりと力強い言葉に若いエネルギーの爆発の予感がする。

プロフィール/阿部光希

卒業と同時に、イギリス・ノッティンガムトレントユニバーシティに留学。『ヴィヴィアン・ウエストウッド』でのインターンなどを経て帰国し、2016年『コム デ ギャルソン』に入社。コレクションラインのパタンナーとして活躍中。