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芸能人にも愛用者が多い、おしゃれなゴルフウェアブランドの敏腕ディレクター
メルセデスや人気漫画とのコラボ企画も話題

FASHION

酒井昭征
株式会社TSIグルーヴアンドスポーツ PEARLY GATES
ディレクター ブランドデザイナー

特集:上昇気流に、なる!
~革新(innovation)で上昇~

大胆かつ斬新なアイディアでブランドの人気を牽引

移り変わりの激しいアパレル業界にあって、何年にもわたり、売れに売れまくっているブランドがある。
その名は『PEARLY GATES(パーリーゲイツ)』。年齢や性別などあらゆる枠組みを超えたゴルフウェアを提案し、人気、実績ともに不動のトップを誇っている。
酒井昭征氏は、そんな同ブランドにおけるディレクター兼チーフデザイナーとして、企画からデザイン、PR活動まで、全プロセスを統括する。

「『PEARLY GATES』の最大の魅力は、“ゴルフ”と“ファッション”を両立させた、唯一無二のデザイン。カッコよくて、おしゃれで、ポップ。それでいて、プレーヤーがパフォーマンスを最大限発揮できるよう、機能面へのこだわりも半端ない。こんなゴルフウェアブランドはどこにもない」と胸を張る。

また、国民的人気を誇る漫画キャラクターや異業種企業との大胆なコラボレーションなど、突拍子もない仕掛けも『PEARLY GATES』の特長。「自分なら次はこれが着たい!こんなことをやってみたい!という純粋な気持ちで、新しいことや多少無謀と思われることにも果敢に挑んでいく」のだそうで、「成功の陰にはその何倍ものボツ企画があるが…」と苦笑しつつ、「型破りなアイディアを繰り出し、ゴルフ業界にフレッシュな風を吹き込み続けてきたという自負がある」と語った。

展示会は季節ごとの年4回だが、毎月テーマを設定し、それに沿ったラインナップを展開していくのが『PEARLYGATES』の戦略。
従って、1ヵ月単位で企画を打ち出す必要があり、「常に頭の中をアイディアが駆け巡っている状態。ブランド愛をエネルギー源に、全力疾走の日々」と言葉を弾ませた。

折しも、2019年はブランド設立から30周年。ロゴの刷新を皮切りに、様々なアニバーサリー企画を展開した。中でも、全国の主要駅をジャックする交通広告は、SNSなどでも頻繁に取り上げられるなどして、ゴルファー以外へのアピール効果も上々。大きなインパクトを残した。

『PEARLY GATES』に関わりのある著名人が参加した、インパクト大の30周年記念サインボードを、表参道駅、 梅田駅、名古屋駅など、全国主要都市に掲示。

モード学園時代に培われた統率力

モード学園時代の思い出といえば、「グループ制作が印象深い」という。
「何事も自分で決めたいタチなので、たいていリーダーポジションに就いて陣頭指揮を執っていた」。そして「そうはいっても、賞をもらったことはなかったな。おそらく先を行き過ぎていたのだろう」と確信犯的に笑い、「それはさておき、一連のグループ制作を通じて人を束ねる極意を実践で学べた。社会に出てから、それがとても役に立っている」と続けた。
「特に部下を持つ立場になってからは、ひとり1人の性格や力量を見極め、うまく差配しながらチームを引っ張っていく統率力の重要性を強く認識している。そのベースになる部分を学生時代に培えたのは大きかったな、と」。

卒業後、TSIホールディングスの前身である、株式会社サンエー・インターナショナルに入社。当時、5次まであった試験を突破して内定を勝ち取り、メンズスーツブランドのデザインを担当することとなる。
大手アパレルメーカーで前途洋々のスタート、ところが待っていたのは「理想と現実のギャップ」という壁だった。
「会社としては当たり前のことだが、売るためのデザイン方針とやりたいことにズレを感じ始めて…」。

そして、悶々と悩み、転職も頭をよぎる中で訪れた転機が『PEARLY GATES』への異動である。
「もちろん『PEARLY GATES』とて、売らなければならないことに変わりはない。ただ、自分たちが着たいウェアをつくろう!から始まったブランドゆえに自由な発想を歓迎する土壌があり、マインドにフィットした」。

好調な業績も追い風となり、“イケイケどんどん”状態。
「その分仕事はハードだったが、やりたいことをやれる喜びは大きく、夢中になって仕事をするうちに10年が過ぎた」。

さらなる発展を目指し
謙虚さと攻めの気持ちを大切に

トップブランドを背負っていくことについては「やりがいを感じる一方で、プレッシャーもある」と正直に打ち明ける酒井氏。だからこそ強く意識しているのは「売れているからといって天狗にならず、謙虚な気持ちでひとつ1つの仕事に取り組むこと」であるという。

30周年の節目を迎えての決意を尋ねると、「さらなるブランドの発展を企図し、守りに入らず、攻めていく。顧客を飽きさせないために、良い意味で期待を裏切るアクションを起こしていきたい」と力強く宣言。そして、その決意が早速かたちになったのが、新ライン『PPG(ピーピージー)』の立ち上げだ。
ゴルフだけでなく、様々なシーンで『PEARLY GATES』をより楽しんでもらうためのユースフルウェアであり、酒井氏が「もしも自分のブランドをつくるなら…」と温めてきたアイディアが随所に散りばめられている。「企業にいながらにして、マイブランドを持つことができたような感覚で、感慨もひとしお」。出だしから好調に推移しており、今後は着用シーンの幅を広げ、展開拡大を図っていく計画だ。
ほかにも「旗艦店のオープンや海外展開の加速、『PEARLY GATES』のフィルターを通したホテルも手がけてみたい」など、野望は尽きない。「最終的に目指しているのは、『LouisVuitton』のような存在。たくさんの人に長く愛され、価格にとらわれず買いたいと思ってもらえるラグジュアリーブランドへと導いてくのが目標」。

酒井氏の全力疾走は、まだまだ続きそうである。

酒井氏が中心となって立ち上げた新ライン『PPG』。『PEARLY GATES』を日常で楽しめるユースフルウェアとして好評を博している。

※卒業生会報誌「MOGA PRESS」74号(2019年12月発刊)掲載記事

Profile

酒井昭征
株式会社TSIグルーヴアンドスポーツ PEARLY GATES
ディレクター ブランドデザイナー

卒業後、株式会社TSIホールディングスの前身である株式会社サンエー・インターナショナルに入社。メンズスーツブランドでファッションデザイナーとしてのキャリアをスタートさせた後、『PEARLY GATES』事業部へ。ディレクター兼チーフデザイナーとして手腕を振るい、数々のヒット企画を生み出している。