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幼い頃の夢をたゆまぬ努力とコミュニケーションで現実にかなえる

GRAPHIC
遠藤 寛昭
ジェ・シー・スパーク、グラフィックデザイナー/グラフィック学科卒業
Red Bull × King Gnuの
キャンペーンビジュアルを担当

自分の強みをいかしながらやりがいを感じる仕事に

ジェ・シー・スパーク社に在籍する遠藤寛昭氏は、目くるめく広告業界でデザイナーとして手腕を振るっている。デザインへの興味をもったのは、小学校一年生の時。「たぶん、デザインが好きになったルーツは、年賀状です。カードという限られた紙面のなかで、どうやって表現するかを考えるのが楽しくて」

その後、バスケに打ち込んでいたが、怪我をしたことをきっかけに、当時興味を持っていたグラフィティへとのめり込んでいく。「もともとヒップホップカルチャーが好きで、グラフィックの道に進みたいと思うようになって」、身近で都心にあるということも決め手となり、モード学園を選んだ。

当時は、佐藤可士和氏や佐野研二郎氏など、メディアに出演してグラフィックデザインを世の中に訴求する人になりたいと漠然と思っていたという。モード学園卒業後は、音楽系の個人事務所に併設されているデザイン会社に入社。デザイナーも遠藤氏と先輩のふたりだけだった。「入社してからそのアーティストがみるみる売れていったんです。そうすると自分がつくるものも徐々に大きなプロジェクトになっていって。先輩が途中で倒れてからは、のちに人員が増えるものの、基礎の基礎しか知らない状態で何から何までやるような状態でした。そこで3年間みっちり働いて、人との出会いや経験を重ねていきました」

しかし、広告への思いは尽きず、その後、映画制作会社を1年挟んで、憧れの広告業界に足を踏み入れた。同じデザインとはいえ、まったく違う業種への戸惑いはなかったのだろうか。「広告は目に触れる機会は多いのですが、音楽や映画と違って、“残らない”んですよね。だから、自分がつくったデザインが代わる代わる消費されていく儚さみたいなものはあります。一方で、どんどん次のことがやりたくなるきっかけにもなるんです。実際、一カ月の間にいくつも案件は動いているので、先月出たものを忘れてしまうくらい目まぐるしく動いています」

つくっても消えていく儚さを感じつつ、次へと進む原動力にもなっていく。「最初はいわゆる広告賞を取るのが目標で、そこに向けて勉強していたのですが、最近は世の中が変わってきて、SNSで反応がストレートに伝わるようになってきました。商品の広告ではありますが、たまにデザインについて言及してくれる人もいて。声がダイレクトに届くようになった点にはやりがいを感じますね」

過去は写真のレタッチも含め、すべてをひとりでやっていたが、今は分業。「自分がやれる範疇は、広そうに見えて実は狭いんです。デザインでいかに恰好よくするかを追求することがミッションで。ただ、グラフィティが好きなので、いわゆる作字と呼ばれるオリジナルで文字をつくり出せるのは自分の売りで、ポリシーでもあります」

そろそろ独立も視野に入ってくる頃。最後に将来について聞いてみた。
 「今は部署を持たせてもらっているので、会社での仕事にも張り合いを感じているところです。そういう状況を考慮に入れずに考えるなら、独立して文字に特化したデザイナーになりたいという思いはありますね。今はSNSを通じて仕事もたくさんありますし、仕事を得る機会は自分のやる気と根性さえあればどうにかなると思います。今は大きな仕事をやらせてもらっていて、横の繋がりも広がってきて、一緒にやらないかと声を掛けてもらう機会も増えてきました。ただ、今は同じ志を持っている若手が多いので、両立できればベストですね」

※卒業生会報誌「MOGA PRESS」77号(2022年11月)掲載記事

PROFILE

遠藤 寛昭
ジェ・シー・スパーク、グラフィックデザイナー/グラフィック学科卒業

モード学園卒業後、音楽事務所と併設のデザイン会社で基礎を学び、映画業界を経て、現在はジェ・シー・スパーク所属。Red BullのKing Gnuキャンペーン、Creepy Nutsの武道館コンサートのほか、サントリーやマクドナルドの広告におけるタイポグラフィーなど数々の広告を制作。現在、八重洲ミッドタウンの広告ディレクションが進行中。