独立しても繋がるモードの人脈/インテリア学科卒・渡邊広樹氏インタビュー
- 渡邊 広樹
- 株式会社サラダボウルカンパニー テックリード
- インテリア学科卒
独立しても繋がるモードの人脈
勇気を出して飛び込んだ結果、世界が変わった
子どもの頃からインテリアが好きだったが、周囲に興味をもつ友人はほとんどいなかった。1年先に上京した兄を訪ねて行った刺激的な東京の記憶が蘇る。そんな時、モード学園のCMを観て体験入学に応募した。「上京はめちゃくちゃ迷いました。やっぱり18歳で東京に出るには、少し勇気が必要で。でも、その一歩を踏み出したから、人生が変わりました」
入学後は学園での日々を満喫した。「多様な人から刺激をもらえたり、様々な国の人とコミュニケーションできたり、必然的にそういった環境に身を置くことができて、新しい視点が広がりました。学校に行きたくないと思ったことは一度もないほど、毎日楽しんでいましたね」。ファッションを専攻する友人と一緒に家で課題をすることも多く、今なお交流が深いという。
著名人の講義も多々あったが、影響を受けたのは担任の熱量だ。「ひとつ1つの課題にクオリティが求められますし、いい意味でなあなあにさせてくれず、ひとり1人にコミットして教えてくれました。熱かったですね」
進路は店舗デザイン一択。世界でも有数の商業施設に、放課後の散歩がてら足繁く通った。色、形、見せ方、どれもが興味をそそる。就職も担任から勧められた大手企業にエントリーし、採用もスムーズに決まった。
就職先では、ショップデザインの設計から施工、積算まで一貫して行う。「お客様も大手が多かったので、割と規模の大きな仕事を経験させてもらって勉強になりました」2年目にして、グランフロント大阪の5000万規模の案件を、ひとりで設計から施工、価格対応まで行った。
「表面上のデザインと実務で使えるデザインはまた違うので、ここで後者を叩き込んでもらったことが大きかったですね。とはいえ、もともと独立願望があって3年で辞める前提だったので、この期間で知識や技術を詰め込もうと思っていました」
勇気を出して飛び込んだ結果、世界が変わった
地元にいた頃から、経営者に憧れていた。2020年には独立して個人事業主として2年間働き、前職の同期をパートナーに、いよいよ(株)サラダボウルカンパニーが始動した。「個人事業主の時は、有り難いことに様々な人脈の繋がりで仕事をいただきました。それこそ、モードのファッション学科の友達から紹介してもらったこともあります」。いまだに新規営業はしたことがない。すべて人伝いで仕事が仕事を呼んでくる。今では正社員は4 名となり、来期もモード学園から内定者を出した。「質を落とさず、自分たちが目の届く範囲を考え、将来的には15人くらいの規模感を目指しています」
クライアントワークで気に掛ける点は何だろう。「商品が売れる店舗をつくることは前提として、お客様によって求めているニーズが全然違うので、僕らのエゴを出すより、要望を聞き取ってそこにいかにコミットできるかですね」表情から仕事へのやりがいが伝わってくる。「僕は仕事が楽しいんです。スタッフがいいデザインを持ってきたときも嬉しいですし、お客様が喜んでくれたときも楽しいですし。好きなんでしょうね」
以前は仕事をバリバリこなすビジネスマンに憧れていたが、ビジネスが先行して大事な人との繋がりが薄れたように感じた。「人生において仕事はもちろん大事ですが、あくまでもサブ的存在だと思っています。従業員にも人生自体を豊かにしてほしいですね」
最近、仕事におけるモットーがなくなったそうだ。「昔はいろいろ掲げていましたが、今は柔軟に行うことがモットーかもしれません。大切な人を巻き込みながら、一緒に幸せになりたいですね」。目指すはお互いの顔が見えるアットホームな企業。18歳で踏み出した一歩が、確実に道をつくっていく。
※卒業生会報誌「MOGA PRESS」79号(2024年11月)掲載記事PROFILE
- 渡邊 広樹
- 株式会社サラダボウルカンパニー テックリード
- インテリア学科卒
モード学園卒業後、(株)スペースに就職。3年後、独立してフリーランスとして店舗設計などを行う。2022年、スペース時代の同期である桑野仁夢とともにデザイン事務所、(株)サラダボウルカンパニーを設立。空間デザイン、設計、施工、管理、家具や装飾のデザインやスタイリングなど、百貨店を中心に、テナントを多く手がけている。