「美容師と理容師、自分にはどちらが向いているのだろう……」と悩んでいませんか?
美容師と理容師は似ているようで、法律上の目的や業務範囲が明確に異なります。それぞれの違いを理解すれば、自分に合った進路が明確になるでしょう。
本記事では、美容師と理容師の仕事内容や顧客層の違い、専門学校で学ぶメリットなどを詳しく解説します。
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美容師と理容師の主な違い
美容師と理容師は髪を扱う国家資格職ですが、以下のように法律上の目的や業務範囲が異なります。
| 比較項目 | 美容師 | 理容師 |
|---|---|---|
| 独占業務 | メイク・着付け | 顔剃り・髭剃り |
| 施術内容 | カット・パーマ・ヘアセット・メイク・着付け ※軽度の顔剃りは可能 | カット・パーマ・顔剃り・髭剃り |
| 顧客層 | 女性中心、幅広い年齢層 | 男性中心、中高年層が多い |
| 養成施設の期間 | 昼間・夜間課程:2年以上 通信課程:3年以上 | 昼間・夜間課程:2年以上 通信課程:3年以上 |
| 必要な資格 | 美容師免許(国家資格) | 理容師免許(国家資格) |
参照:理容師・美容師制度の概要等について|厚生労働省
参照:e-Gov法令検索|美容師法
参照:e-Gov法令検索|理容師法
両者の違いを把握し、目指す方向性を見つけましょう。
美容師法と理容師法の違い
ここでは、美容師と理容師をわける法律の違いや必要な資格を見ていきます。
法律上の目的の違い
美容師と理容師の定める法律と、目的の違いをまとめました。
| 項目 | 美容師 | 理容師 |
|---|---|---|
| 法律 | 美容師法 | 理容師法 |
| 法律上の定義 | パーマネントウェーブ、結髪、化粧などの方法により、容姿を美しくする職業 | 頭髪の刈込、顔そりなどの方法により、容姿を整える職業 |
| 目的 | 「美しくする」こと | 「整える」こと |
参照:e-Gov法令検索|美容師法
参照:e-Gov法令検索|理容師法
美容師はメイクや着付けなど「美しくする」施術、理容師は髭剃りなど「整える」施術を担当するよう、法律で区別されています。
資格の必須性
美容師と理容師は、厚生労働大臣が認める国家資格の取得が法律で義務づけられた職業です。資格を持たないまま業務をおこなうと、法律により処罰を受けるおそれがあります。
顧客の安全や衛生管理を徹底するため、専門的な知識と技術を持つ人だけが業務をおこなえるよう、法律で厳しく定められています。
仕事内容の決定的な違い
ここでは、美容師と理容師の仕事内容の違いを見ていきます。
理容師の独占業務「顔剃り(シェービング)」

理容師だけがおこなえる独占業務が、カミソリを使った顔剃りや髭剃りです。美容師法では、化粧に付随する軽度の顔剃りは認められていますが、本格的なシェービング施術は理容師のみに許されています。
顔の産毛やひげを剃る施術に加え、首筋やうなじなどの剃毛も理容師の専門技術です。理容師によるシェービングは、理容業の大きな魅力の一つです。
美容師の専門領域はメイク、着付け、エステなどまで

美容師は美容全般の施術を専門としています。主な業務は以下のとおりです。
- メイクアップ
- まつ毛エクステンション、まつ毛パーマ
- 着付け
- ヘッドスパ、トリートメント
これらの施術は、容姿を「美しくする」美容師法の目的に沿ったもので、理容師はおこなえません。美容師は外見の美しさを引き出す幅広い施術を担っています。
主な顧客層・活躍の場の違い
美容師と理容師の顧客層や、働く場所の違いを詳しく解説します。
美容師の顧客層とトレンドへの対応
美容師の顧客層は性別や年齢を問わず幅広いですが、女性客や流行に敏感な若年層の利用が多い傾向です。
美容師が主に活躍できる場所は以下のとおりです。
- 美容室
- 結婚式場やホテル
- 雑誌・テレビ・映画などの撮影現場
- 化粧品メーカー
フリーランスとして活動する美容師も増えており、キャリアの選択肢が広がっています。
理容師の顧客層と安定した需要
理容師の顧客層は、中高年層の男性が中心です。定期的なカットやシェービングで清潔感を保ちたい人に向けて、施術を提供しています。
近年では男性の美容意識の高まりを受けて、メンズグルーミング専門店やバーバースタイルの理容店も増加中です。
また、高齢者向けの訪問サービスや福祉施設での需要も高まっており、安定した顧客基盤を持つ職業です。
給料や将来性の違い

ここでは、美容師と理容師の働き方による収入の違いと将来性を解説します。
働き方による収入の違い
厚生労働省のデータによると、美容師・理容師の平均年収は約372万円(※)です。アシスタント時代は月給20万円前後からスタートし、収入が低い傾向にあります。
しかし、指名が増えたり独立できたりすると収入が上がります。技術力や接客スキル、集客力によって大きく変わるため、やりがいの面でも大きな成長を実感できるでしょう。
※参照:美容師|職業情報提供サイト
※参照:理容師|職業情報提供サイト
関連記事:美容師の年収はどのくらい?給与形態や年収を上げる方法について解説!
将来性の比較
美容師・理容師ともに安定した需要がありますが、それぞれ異なる強みを持っています。美容師はトレンドへの対応力に加え、メイクやヘアセットなどトータルビューティの分野にも展開できるため、活躍の場が幅広いのが特徴です。
一方、理容師はカミソリを使ったシェービングという独占業務があります。高齢者向けの訪問理容サービスや女性向けのブライダルシェービングなど、新たな市場が広がっています。
高齢化社会が進むなか、福祉や訪問サービス全体の需要が増加しており、どちらの職業も将来性は明るいといえるでしょう。
美容師と理容師どちらを目指すのがおすすめ?

ここでは、美容師・理容師、それぞれの職業に向いている人の特徴を紹介します。
美容師が向いている人
美容師に向いているのは、次のようなタイプの人です。
- トレンドを追うのが好きな人
- 幅広い美容技術を習得したい人
- クリエイティブな仕事に挑戦したい人
美容師はヘアスタイルに加えて、メイク・着付け・ネイルなど幅広い美容分野に関心があり、クリエイティブな仕事に挑戦したい人におすすめです。
理容師が向いている人
理容師に向いている人は、以下のとおりです。
- 伝統的な技術を習得したい人
- 専門技術(顔剃り)を身につけたい人
- 男性特有のグルーミングサービスに興味がある人
男性客が多い理容院では、「おまかせ」の注文も少なくありません。確かな技術に加え、流行やファッションへの関心を持ち、お客さまに合ったスタイルを提案できる人が向いています。
また、繊細な部位にカミソリを当てる施術も多いため、お客様とのコミュニケーション能力も求められます。
美容師と理容師両方の資格は取れる?
美容師と理容師、両方の免許を取得する「ダブルライセンス」は可能です。ここでは、取得方法や期間、メリットと注意点を解説します。
ダブルライセンスの取得方法と期間
ダブルライセンスを取得するには、主に2つの方法があります。
| 取得方法 | 期間 | 学費 |
|---|---|---|
| 片方の資格取得後にもう一方を学ぶ | 昼間課程・夜間課程:1年 通信課程:1年6ヵ月※ | 美容師2年間:240万円程度 理容師(通信):45万円程度 |
| ダブルライセンスコースのある専門学校に通う | 最短2年6ヵ月 | 240万円程度 |
すでに一方の資格を取得している人には、もう一方を学ぶための特別な課程があります。2018年の法改正により、昼間・夜間課程は1年、通信課程は1年6ヵ月で修了できるようになりました。
また、ダブルライセンスコースを設置している専門学校では、最短2年6ヵ月で両方の国家試験受験資格を取得できます。
ダブルライセンス取得のメリットと注意点
ダブルライセンスを取得すると、理容室と美容室の両方で働けるため、就職・転職時の選択肢が広がります。男女問わず対応できるサービスは、開業時の強みとなるでしょう。
ただし、一方だけを取得する場合よりも学習期間が長くなり、費用も増加します。取得後も両方の技術を維持するための継続的な研鑽が必要です。
美容師や理容師を目指すなら専門学校へ

美容師や理容師を目指すなら、専門学校で学ぶのがおすすめです。ここでは、専門学校が最適な理由を解説します。
国家試験合格への最短ルート
美容師・理容師の国家試験対策に特化したカリキュラムを備えているのが、専門学校の特徴です。
法規や衛生管理などの筆記学習とカッティングの実技練習に加え、模擬試験や個別指導で確実にレベルアップを目指せます。多くの専門学校では高い合格率を維持しており、効率よく資格取得を目指せる最短ルートです。
関連記事:美容師になるには?向いている人や学校の種類について解説
現場で通用する実践的な技術の習得
専門学校では、サロンと同じ設備を使った豊富な実習により、現場で即戦力となる技術を身につけられます。
また、現役プロの講師から直接指導を受けられるため、最新のトレンドや現場の接客術など、教科書では学べないノウハウを習得できます。
関連記事:美容師の専門学校は何年通う?美容師免許を取得までの流れと学校の選び方について
関連記事:美容師専門学校の学費はいくら?大学との比較や奨学金などの制度を紹介
まとめ
美容師と理容師は、どちらも国家資格が必要な職業ですが、法律上の目的や業務範囲が異なります。美容師は「容姿を美しくする」ための施術をおこない、理容師は「容姿を整える」業務を担当します。
専門学校では、国家試験対策・実践的な技術習得・就職サポートが受けられるため、効率よくプロを目指せます。自分に合った進路を選び、美容業界での活躍を目指しましょう。
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